戦国遊戯
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」

何が起こったのかわからなかった。

後ろにいたはずの幸村が、今は目の前にいる。
そして、学は悲鳴を上げながらその場に倒れこんでいる。

困惑した表情の玲子。だが、幸村ががくっとその場に倒れこんだとき、全てが理解できたのだ。

はぁはぁ、と浅い息を何度も繰り返す学。体がぶるぶると震えていた。左手で首を押さえているが、押さえた手からは、真っ赤な液体が、止まることなく次々とあふれ出ていた。

「痛い…助けて……」

目に涙を浮かべながら学が呟いた。が、表情はなぜか笑ったままだった。

「怖…い……さ…む……」

がたがたと震える学。死の恐怖からか、体温の低下からなのか。それはわからなかった。駆け寄ろうとしたとき、幸村の腹部に、刀が刺さっているのが見えた。

「えっ?」

玲子が幸村の方を振り返ると、そこには、学がさっき拾っていた刀がしっかりと突き刺さっていたのだった。玲子は自分の目を疑った。

幸村に限って、そんなはずはない。

そう思い、そして気づいたのだ。
幸村が、自分を庇ったために、学の攻撃を避けきることができなかったことに。

「そんな…嘘でしょ…?」

玲子が呟いたとき、今にも消えそうな声で学が呟いた。

「いや…だ…し…たく……」

必死で押さえていた手の力が緩み、学の周りにはどんどん赤い血の池が広がっていった。

そして、次の瞬間。



学の姿が、目の前から消え去ったのだった。
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