戦国遊戯
***** 幸村's View *****

廊下を歩いていると、風呂から上がった玲子にばったりと出くわした。正直、あの時、玲子が女なのだと、改めてしっかりと認識した。

ほんのりと桜色に染まった頬に、濡れた長く黒い髪。

思わず心臓が高鳴り、まともに目を見ることができなかった。

そう、そのときはどきどきした。
が、今ははらはらしてたまらない。

なぜなら――――――

そんなに時間は要らなかった。2人が酔っ払いになるまで。

「あははははははは!」

「わっははははははは!」

玲子と信玄の笑い声が響いた。

「あれぇ??ゆっきー飲んでるー??」

「ゆっ!?」

玲子に言われて思わず顔が真っ赤になる。

「わはははは、ゆっきーか、これはいい。のう、ゆっきー」

玲子と信玄の顔がまっかだ。

「あー、しんちゃん、お酒なくなってんじゃん。どんどん飲んで~」

そう言って、ふらふらと玲子はお酒を信玄に注ぎにそばに行った。

「しんちゃん!?」

玲子の言葉に、幸村の顔から血の気が引いていった。

「おぉ、玲子。すまんな」

信玄はまったく気にしていない風だった。

「お、お館様!!」

「なんだ、ゆっきー。ははぁ、お主、妬いておるのか?」

言われて顔が真っ赤になった。

「わははははは、どうした、顔が赤いぞ?」

「お館様!飲みすぎです!」

そう言うと、すっと信玄の目が鋭くなった。

「なんじゃ、お主。そんなに玲子の酌がよいのか?」

会話が成立しない・・・

「玲子、ほれ、酌をしてやれ」

「はぁ~ぃ」

ふらふらと、玲子がそばに寄ってきた。
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