戦国遊戯
「お、おい、大丈夫か?」

ひざを突いたまま、ふらふらとこっちに寄ってくる。

「うわぁ!」

着物の裾をぐいっと踏みつけてしまい、バランスを崩して前に倒れてきた。

「玲子!」

あわてて抱きとめた。

「ごめんなさいー」

えへへ、と笑う玲子。少し呆れてしまった。

「大丈夫か?」

「だいじょーうぶでーっす」

完全に酔っ払っている玲子。


このまま飲み続けるのはまずいな。


小さく溜息をつくと、幸村は信玄の方を向いて頭を下げた。

「お館様。もうこれ以上は体に毒です。今日はもう、帰ります」

「なに?もう?まだまだこれから・・・」

「お館様!」

「・・・わかったわかった。もうよい。玲子を連れて帰ってやれ」

幸村はひざをつき、頭を下げた。

「ほら、玲子。立てるか?」

一応聞いてみた。立てらせてみたものの、足に力が入らないのか、一人では立てれそうにない。

「あはははははは」

何が面白いのか、さっきから笑いっぱなしだ。

「帰るぞ」

「えー?もう帰るのー??」

「ほら」

「はぁーい。しんちゃん、ばいばいーい」

「うむ、ばいばーい」

相当飲んでいるのか、上機嫌の信玄。はぁ、とため息が出た。

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