戦国遊戯
玲子に肩を貸して、家を出た。こんな泥酔状態の人間を馬に乗せて帰るのは、いろいろと危険な気がした。馬は、先に連れて帰るよう、佐助にお願いしておいた。

家まで後半分、といったくらいのところで、急に玲子が座り込んだ。

「大丈夫か?」

「うーぅ・・・きもちわるい・・・」

「飲みすぎだ」

そう言って、背中をさすってやった。顔色が少し悪いように見えた。
少し呆れた表情になる。

「ほら、飲め」

そう言って持っていた竹筒に入れていた水を差し出した。玲子に渡すと、ごくごくっと一気に飲み干した。

「ほら、家まであと少しだ」

「うぅーん・・・」

はぁはぁ、と、少し荒く息をしていた。少し、その姿にどきっとした。

が。


・・・酒臭いな


それもすぐにかき消されるくらいに、酒臭かった。

「さぁ、行くぞ」

ため息をついてそう言うと、玲子を抱き起こして、歩き出した。

さぁっと夜風が吹いた。道端の草や、稲がさわさわと音を立てた。
りーんりーん、と、虫の音も聞こえてくる。

「・・・自然がいっぱい。目が覚めるの、やだなぁ・・・」

玲子が隣で言った。

「目が覚める?」

「こんなに楽しい夢は初めてかもしんない」

ふふっと笑う玲子。

「目が覚めたら、きっと、パソコンの前にいて、居眠りしてるんだよ。ゆっきーも、しんちゃんもいない。なんかそんなのやだな・・・」

そう言うと、玲子は吐きそう、といってあわて道の脇によろけながら倒れこんだ。

「だ、大丈夫か?」

「げほげほっ、・・・・っぁー・・・気持ち悪い。でも、ちょっとすっきりした気がするー・・・」

玲子の背中をさすりながら、家へと向かった。
< 43 / 347 >

この作品をシェア

pagetop