戦国遊戯
き、きまず・・・


一言も話すことなく、幸村とともに裏庭へと出た。

「佐助」

幸村が声をかけると、どこからともなく佐助は現れ、手にはいくつかの獲物を持っていた。

手にいろいろ取ってみた。

刀。
・・・想像以上に重い。こんなもの振り回してなんて、戦えるわけないじゃん。

却下。


槍。
悪くはないけど・・・これ持って走ったりするのってなんか大変そう。

一応、保留。


弓。
予想を裏切る弦の硬さ。私の生きてた時代とは、狙うものも、用途も違う。そう考えれば、弦が太く、硬くて使いにくいのも当たり前なのかも知れない。

・・・だめ、こんなの一朝一夕で使いこなせるとは思えない。却下だわ。


この中で行けば、やっぱり仕えそうな獲物は槍。だけど、どうにも槍は難しそうな気がしてならない。何より、懐に入られてしまえば、慣れていない私なんて一発だろう。

「あうー・・・こまった」

うーん、と難しい顔をしていると、佐助が、別のものを差し出してきた。

「これは・・・脇差?」

「このくらいの大きさであれば、あんたでも扱えるんじゃないか?」

不服そうな顔をしているが、手にぽん、と渡してきた。

「・・・戦に行くというんだ。若の手を煩わせるようなことがあってはならないからな」

ふん、と、そっぽを向いた。ありがとう、と頭を下げる。


大きすぎず、重すぎず。刀よりは小回りも聞くし、このくらいがちょうどいいかも知れない。


「・・・これにする」


そう言って、脇差をじっと見つめた。
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