戦国遊戯
「なぁ、玲子」

幸村に呼びかけられて、うん?と顔を向けた。真剣なまなざしでこっちを見ている。

「玲子は一体、何者なんだ?」

「え?」

聞かれたことの意味をつかみかねる。

「玲子は覚えていないかも知れないが。この間の夜。酔って帰っている途中で、玲子はこんな楽しい夢は久しぶりだと言った。目が覚めれば、俺や、お館様がいない、と」

幸村の言葉に、頭が真っ白になった。


なに、私、そんなこと言ってたの!?


「一体これは、どういう意味なのだ?お主は一体、何者なのだ」

ずいっと詰め寄られる。うまく言葉が出ない。

「えっと、その・・・酔っ払ってたから・・・」

誤魔化そうと試みるが、真剣な幸村の目が、それを許してくれなかった。


しばらくの沈黙の後、仕方がない、と、事情を打ち明けることにした。

「私は、この時代の人間じゃないの」

「は?」

「私は、今、この時代よりも、もっともっと先、遠い未来に生まれて、生活をしていたの」

想像もしなかったことを言われているからか、幸村はわけがわからない、といった顔をしていた。まぁ、それも無理はない。
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