世界の灰色の部分
15
3日後。
わたしと先生は、沖縄にやてきた。那覇空港で乗り換えして石垣島へ、そこからさらにフェリーに乗り換えていく、遠い遠い、日本の端の島。
飛行機の中からやフェリーから見える南の島の海は、言葉を失ってしまうほど美しくて、わたしはひたすら見とれていた。
波照間島に降り立てば、眩しい日差しがじりじりと肌を焼いた。
「不思議だな。同じ日本でも、東京とこうも違うだもん」
「そうだね」
フェリーの乗船所を出れば、すぐに青空と緑が見えて、すれ違う人はみんな楽しそうな顔をしている。
先生はレンタカーを手配していて、地図を見ながら姉さんの住所を探すことにした。
車は広い空の下を、どんどん走っていく。
「ねぇ見て先生!あれ、あの木へんなのー!あっ、うそっ、ヤギだ!ヤギもいた!見た!?」
「見た、さすが沖縄だねー。それより夏実ちゃん、地図も見てる?次のとこも真っ直ぐでいいの?」
「えっ、ちょっと待って!」
なんでか取り留めのない会話が楽しくて、ああ、わたしは幸せなんだって思えた。そしてなぜだかわからないけど、きっと姉さんにも会える、そんな気がしていた。
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