ディーダラス2064
月面都市上空軌道に静止して、出発が今か今かと待機しているディーダラス01の船体はブルー一色でシルバーのつぎはぎをくっきりとシャープに見せている船体表面の機械的溝が縦横縦横に走っていた。
四人がぎゅうぎゅう詰めに押し込まれたチーム単位の月面宇宙船室の大きな窓から外部に広がるやがて徐々に近づいてくるディーダラス01を観ながらスチュアートが指を指した…
「搭乗員マニュアル読んだだろう…あの巨大船の中枢管理コンピューターは感情指数が人間並みだって聞いたぜ」

「理論値数は人間以上…じゃあ乗り込む俺たちの役割ってあるのでしょうかね」少し腹立たしそうな声でナオヤが続けた

赤毛の短髪ジョングレンは今の二人の言葉にまるで反応などしないかのようにぐっと船窓を覗き込んでいた

ジョングレンはどことなく浮世離れしたところがある
月面船で顔を合わせた3日前から感じていた、どことなく夢見心地でボーっといつもなにか考え事でもしているかのような様相は、グループのほかの三名にとって腹立たしくは無かったがどことなくグレンに対して近寄りがたい印象を与えていた。
それに彼は無口だったし…

スチュアートはというと、とても好奇心旺盛だった、口数も多く、勉強熱心なところがあった。
最年長のグレンの32歳に比べれば、一回り若い20歳
それでも17歳でまだまだ勉強に於いても行動学に於いても先輩方を見習わなければならない ナオヤ とカオル はいつも二名の先輩方に敬語を使うことも多かったし
なにより心底から丁重に接して尊敬しようといった気持ちで居た。
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