ディーダラス2064

それは、そのDNAで再構成された生体

あの生態系でもともとそのDNAを保持していた個体は
ミディ と呼ばれた女性のものだった。

宇宙全体の生態系のデータを集めてきた彼らや女王にとって
その種族のDNA構成が効率がよいもので
特に見た目も美しいものであるとは思えなかった。

生態系内に個体同士の中で美の基準に於いての優劣があっても
それらを彼らが、全く未知の生体に対して分別をつけるまでには時間がかかった

ただ その個体はとりわけ健康面においては優れた部類に入る
それはとても歓迎すべきものだった…


とても長い時間を経てしばらくぶりに持つことが許された生体に宿った
女王の意識と記憶プログラムを含む精神ユニットの新生体との結合は上手くいったらしく、女王は培養液から身体を起こすと
肺という器官を使って酸素を体内に取り込み始めて
その生体としての機能を活用し始めた


「この生体は 真空の宇宙空間での活動に適していないようだ」
女王はそう言って ため息をついてがっかりした表情をした。
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