-恐怖夜話-
幹線から外れた、季節はずれの観光地の山道。
それも、深夜と来れば、すれ違う車はほとんどいない。
その空いた道の、車の前方10メートル位の所、進行方向左側。
つまり崖側の白いガードレールのすぐ横を、二つの人影がテクテクと歩いているのが見えた。
あれ?
人が歩いてる――。
私たちと同じ方向に歩いているから、見えるのは後ろ姿だ。
キャンピングカーのライトに照らし出された黒い影が、ユラユラとアスファルトに踊っていた。