-恐怖夜話-
十代の頃は、無駄な贅肉など付いてなかったし、何をどれだけ食べても体型が気になるようなことはなかった。
でも、二十台も半ばを超えると、そうは行かない。
体の端々に付いて離れない憎っくき脂肪と言う名の侵略者は、スレンダーだった体型を土偶体型に近づけるべく日夜ジワジワと確実に増殖しているのだ。
付くのは簡単。
落とすのは至難の業。
まるで、白いブラウスに跳ね飛んだ、カラーうどんのシミのごとくだ。
ああ、ダイエットでも、しようかしら。
などど考えながら、ゆっくりと近づく二つの人影を何となく目で追った。