-恐怖夜話-
ジャリ、ジャリ――。
歩くたびに響く砂利の鳴る音にビクビクしながら、私は武士のすぐ後にくっついて、車に向かう。
と、何の前触れもなく武士が立ち止まった。
「きゃっ!?」
私は武士の背中に鼻をぶつけて、思わず小さな悲鳴を上げた。
「どうしたの、武ちゃん?」
「……」
武士は答えない。
じぃっと右前方、黒い木立ちに囲まれたキャンプ場の中の方を見ている。
武士は日頃人当たりが良くてニコニコタイプ。
でも、この時の表情は、私があまり見たことがない種類のもので、『怒っている顔』に一番近かった。