-恐怖夜話-
早まることも、遅まることもない、まるで車の周囲を廻ることだけが目的のような、その恐怖の行進。
夜の静寂に不気味に響く足音に戦(おのの)きながら、私たちは動く事さえままならない。
お願い、早く、早く消えて!
心の中で、強く念じた。
すると。
ジャリン――――。
と、唐突に足音が止んだ。
一分。
二分。
じりじりと、時間だけが過ぎていく。
足音はもうしない。
足音の主は、もう何処かへ行ってしまった。
きっとそうだ。