-恐怖夜話-
武士?
武士なの?
「あ……ぅ……」
私の声に反応するように、指先にギュッと力が込められる。
武士だ。
武士が、近くにいる!
無事だったんだ。
ケガをしているのかも知れないけど、とにかく生きている。
鼻の奥に、つんと熱い物が込み上げる。
しっかりしろ、恵子!
私は、自分に活を入れた。
きっと武士も、私と同じで動けないでいるんだ。
目を開けなきゃ。
そして、助けを呼ばなきゃ。
私は、なんとか目を開けようと瞼に力を込めた。