Rainy-Rainy
―Chiduru―
「っていう笑い話があった訳や」
フィルターを残して燃え尽きたタバコを灰皿に押し込む。
また灰の山が崩れて床を汚した。
怒ってるかなと思って、恭兄を見たら何やら、ぽけっと間抜けな顔を晒している。
相変わらず阿呆面やな。
「何やねん。何か言うたらどうよ?」
「あ、あぁ、そうだな。正直、驚いてる」
「驚いてるって、それだけ?」
罵詈雑言を覚悟していた体が空回りして、すかっと力が抜ける。
もっと言う事あるやろ。
恭兄の好きな人死なしてしもたんは、ウチと桂なんやから。
「お前が考えてる事、なんとなくだけど分かる。けど、見当違いな八つ当りはしねぇよ」
「見当違いちゃうやろ。ウチらがあんな事せんかったら…った!?」
タバコの箱が鼻っ柱に当たる。
痛い。
この女垂らし、何すんねん。
「確かにそうだ。お前らは悪い。だが、ソレを言って何になるんだ。お前に怒れって?泣けって?冗談じゃねぇ。そんな阿呆な事出来るか」
「でもっ…」
次の句を、恭兄は片手で制した。
空きかけた口を力なく閉じて、恭兄を睨む。
ムカつく。
何で、静香みたいな事言うん?