Rainy-Rainy
降り止まない雨が、俯いたまま立ち尽くす俺達を容赦なく打つ。

頬を打つ雨粒が、やけに冷たい。

だが、おかげで目が覚めた。

歪んでしまった理性が元に戻りそうだ。


「ごめんな、濡れちまった」


転がった傘を拾い上げようとして、俺は静香がふらりふらりと、今にも倒れそうな様子に気付いた。

今気付いたが、やけに顔色が悪い。


「大丈夫か?調子悪そうだけど」

「少し…立ちくらみがする程度です」


そうは言うものの、静香の視線の焦点が定まっていない。

ぼーっと熱に浮かされたような、ふわふわと視線を揺れさせる。


「ホントに大丈夫か?」

「だから、大丈夫ですと……」


と言った側から、大きく静香の体が左右に揺れた。

その肩を抱き留めつつ、落ちた傘を拾い上げて、静香を雨から守る。


強がりか、それとも無理をしなきゃならない理由があるのか。


「家まで送っていくか?」

「っ!?……け、結構です!」


両手でドンと突き飛ばされて、後ろに尻餅を付きそうになる。

危うく水溜まりに座り込みそうになったが、両足を踏ん張って、堪え切る。


しかし、何も突き飛ばす事もないだろうに。

下心でもあると思われてるのか?

いや、さっき傘に入れてくれた時の様子だと、そんな事気に掛けるような奴じゃなさそうだが。


< 63 / 107 >

この作品をシェア

pagetop