Rainy-Rainy
「用がないなら、放っておいて下さい。私なら、本当に大丈…夫………」


目の前で、グラリと静香の体が傾いた。

さっきみたいにフラフラと揺れるのとは違う、急に力が抜けたかのように、体が膝からストンと落ちたのだ。


彼女が倒れ込んだ、水溜まりがバシャンと跳ねて、スニーカーを濡らす。


「え……ぁ、お、おい!?」


いきなり倒れた静香に駆け寄って、体を抱え上げる。

腕の中に、すっぽりと納まった体が冷たくて、それに軽かった。


気を失ってしまったのか、頬を叩いて呼びかけても、反応が無い。


「っ、どうすんだよコレ」


倒れる位具合が悪かったなんて。

というか、何でそこまで無理してるんだ。


行き交う人々が、女子高生を抱えてオロオロする俺に、珍妙な目を向けていく。


おかげで何も悪い事してないのに、酷い罪悪感を感じる。

とにかく、どこかに運ぶか。


ポケットから、携帯のストラップを掴んで引っこ抜いて、アモーレの番号を手早く押す。


「あ、マスター?俺だけど。あぁ……ちょっと遊里を寄越してくれ。うん、すぐそこ。頼む」


パチンと携帯を閉じて、強く握る。


遊里がすぐに来てくれるらしい。

それまで、静香が濡れないように守らないとな。






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