先生と私のたった一度の恋

3

「あ、悪い。」


そう言って、先生はポケットからハンカチを出して私の頬を抑えた。

男の人は、ため息をつきながら紙を拾っている。


そして、私を見たあと生徒手帳から絆創膏を取り出して、私の頬に優しく貼ってくれた。


「あ、ありがとうございます。
えっと…」

「村崎 和馬(ﾑﾗｻｷ ｶｽﾞﾏ)だ。」


和馬先輩は、そう言ってまた紙拾いを始めた。
それに習って私も紙拾いを始める。

ふと、あることに気がついた。


「和馬先輩。まだ授業中ですよ？」



そう、チャイムが鳴りそうだがまだ授業中。
それなのに和馬先輩は、普通に出歩いていた。


「ああ、それは…「和馬〜！」…チッ」


和馬先輩が何かを言いかけるとうしろから、大きな声がした。


「おっ！和馬〜」

その声の主はこちらに近づいてきていた。
しかも、複数の足音。