NOEL(ノエル)

ψ9. アナザーサイド


ψ9. アナザーサイド




「遅いぞ。」

「え?」

「遅いわよ。」

「え、何?僕?」

ヴィリジアンルームの扉を開けるなり、ビルはアルベルトとミルクの鋭い視線に射抜かれた。

「早くここに座れよ。ビル。
大声で話し合う事じゃないだろう?こういう事はさ。」

「え、あの・・・話、見えてないんだけど。
話し合うって・・・何を?」

「密航だよ。決まってるだろう。」

アルベルトは当然のように言うと、テーブルの上に薄い液晶シートを開く。

「えっ?・・・あ、そ、そうなの?」

ビルは唖然としながらミルクを振り返る。

「そうよ。
Mrs.フローラの話、聞いたでしょ?
まともに行動したって、行き止まるに決まっているじゃない。

しかも、こちらにはビル、あなたがいるのだから。」
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