幕末咲乱華
間一髪その攻撃から逃れ、体制を整え、逆にその力士に向かって刀を振り上げた。……血煙を上げ、倒れた。
それを見た力士等は我先にと情けない声を上げながら逃げて行った。


……いつの間にか乱闘している側には野次馬が集まり、


「喧嘩だ−!!」

「果し合いだ−!!」


と騒ぎ、熱湯の様な大騒動。
華は、不味い事に成って来た…と血の気が引いて冷や汗が出て来た。


そんな中、ふと試衛館派の方を見ると、沖田がふらつきながら刀を素早く振り回し、力士を近付けない様にしていた。
永倉は負傷したらしく左腕を庇っていて、島田はそんな永倉に手一本着けさせまいと力士と奮闘している。
山南の姿は見えない…。



華「これでは、みんな死んでしまいます!無闇に命を落とすなんて嫌です!……俺、行って来ます!」



そう言って立ち上がると、

斎藤「いや、行かなくて良いみたいだ。見てみろ。」



華の歩を止め、外に視線を送る。
斎藤の視線の先を辿ると、彼が言う様に力士等は退散して行った。
何か起こったのか全く理解出来なかったが、直ぐに皆の元へ急いで行った。
< 110 / 201 >

この作品をシェア

pagetop