fennel/mimosa

出陣

 分からない。
 ぜったい分からない。

「凜歌……私、分からないことがあるんだ……」
 授業が終わってしまった後、凜歌に打ち明ける。

「英語ってなに?」
「異国語」

 まさにその通りのことを即答する凜歌。
 あ、うん。確かに異国語だ。

「likeって何?好きって意味だけじゃないの!?」

 うー……早くも挫折気味。高校って大変だ……。

「蓮音。行こーぜ」
「……」
 ……どこへ?えーっと…あ。

「生徒会室だね!」
「あったりー」
 危ない危ない。
 危うくお兄ちゃんに怒られるトコだった……。

「凜歌……また明日ねっ!」

 凜歌は私に微笑むと、明日。と呟くように言った。

「急ごーぜ」
「あ、うん」

 明君に腕を引っ張られ、半ば引きずられるようにして教室を出た。
 そんなに急ぐことなのかなぁ……。

「あっ!ストップ!明君ストップー!カバン忘れた」
 私が言うと、凜歌が歩いてきて私にカバンを手渡す。
「……ありがとー凜歌」

 凜歌は別に。と呟くと歩いて行く。
 凜歌ってやっぱりすごいカモ。
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