恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
「あたしのほうこそ、お願いしまーっす!!」



人目も気にせず、おでこがつま先にくっついちゃうんじゃないかってくらい、センパイに向かって頭を下げてるあたしがいた。


だけど、あんまり頭を下げすぎたせいで、背中に背負ってた通学用のリュックサックの中から体操服やお弁当箱、水筒やらが次々に飛び出て散乱してしまった。

きっと、部活のあと、早く映画に行こうと慌てて帰り支度をしたせいで、リュックサックのクチの部分がちゃんと閉まってなかったんだと思う。

なんかあたし、まだランドセルに慣れていないピカピカの新小学1年生が、深く頭を下げた瞬間、ランドセルの中の教科書やノートなんかをそこいらじゅうにブチまけてるのと、ほとんど変わんないような気がする。

ハァ~、情けない。同じ新1年生とはいえ、あたしは高校1年生だよ。小学1年生と同じことするなんて、ホント、トホホだ。


こんなダメ山ドジ子のあたしなんかに、なんでセンパイは付き合おうとしてるんだろ?

それに、あゆみセンパイのことは?

う~ん、ナゾだ……すべてがナゾだ……。

よく男のヒトたちが「女心は分からん」なんて言うもんだけど、分かんないのは“男心”も同じだよ、ってあたしは思った――――


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