恋うつつ ～“好き”というどうしようもないキモチ～

思えば中学１年のときから、いつも、ずっと遠くから見ていることしかできなかったセンパイがこんな至近距離に……ってか、センパイとあたし、密着してるしっ!!!!


今日、センパイたち男子バレー部は、あたしら女子バレー部より早い時間に練習を切り上げてたけど、それは男子バレー部が女子バレー部より朝の早い時間から練習に取りかかっていたせいだ。

センパイも今朝は早起きして、きっと眠かったんだろうと思う。

おまけに今日の映画は、ある意味マニアのあたしだからこそ楽しめる内容だけど、センパイみたいなフツーのヒトが見ちゃった場合、スグに飽きちゃって、眠くなっちゃうようなモノだったし……。


今日の映画を何日も……ってか数ヶ月前から楽しみにしてたあたしだけど、こうなっちゃうともう映画のセリフも耳には届かない。

音の大きさなら、映画館のスピーカーから聞こえてくる音のほうが、はるかに大音量のはずだった。

それなのに、本当ならその大音量にかき消されるくらいの音の大きさでしかない、センパイの微かな寝息のほうが、あたしの耳にはハッキリと届いていた。


センパイとあたしが密着しはじめてすでに１分……いや２分は経ってると思う。