恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
大勢のヒトたちで賑わう土曜日の夜の新宿の街で、人目も気にせず、サッと頭を下げるセンパイ。
自分の否を認めて、なんのためらいもなく女子に頭を下げるあたりは、さすがはスポーツマンのいさぎよさってところだろうか?
彼がマスコミから“ノッポ王子”としてチヤホヤされるのは、見かけの一流さだけじゃなく、中身のハートも一流だからなんだと、そのときあたしは実感した。
「せ、センパイ、もういいですよっ。さっきも言いましたけど、あたし全然気にしてないですからっ。み、みんな、見てるし、もう頭を上げてくださいよっ」
人目を気にしているのはむしろあたし。
「そっか。わんこちゃんがそう言うなら」
そう言って頭を上げるセンパイ。
「だけどサイテーのことしといて、そのまんまってのはオレの性(しょう)に合わねぇ。お詫びに今度はオレがわんこちゃんを映画に誘う、もちろんチケット代はオレ持ちで。だから、もっかいオレに付き合ってくれよ。頼む、このとおり。な? いいだろ?」
片目をつぶったウインク状態で、あたしに向かって手を合わせるセンパイ。
いうまでもなく、あたしはヒトに何かを頼まれると「イヤ」とは言えない。