恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
パカッ……


ケータイを開いて時間を確認する。

さっきからこの行動をいったい何回繰り返してるんだろう……?

それでも約束の時間までには、まだ30分以上もある。


早く来たおかげで遅刻はしないで済むけど、さすがに早く来すぎたかな……?

そう思いながら何げにあたりを見回すと、日曜日もまだ朝早いというのに、公園にはすでにチラホラと、はた目にも幸せそうなカップルたちの姿があった。

今までは、それこそ指をくわえそうな思いで、そんなカップルたちのことをうらやんでいたあたしだけど、今日からはあたしもヒトに“うらやまれる側”の人間になるんだ。

ホント、今まで彼氏いない歴15年のあたしの人生からしてみれば、夢みたいなことだけど、夢じゃないってことは分かる。

だって昨夜から一睡もしてないし、寝てないんだから夢なんか見てるはずがない。



……と、そこへ、

「よかった、早く来てくれてて」

聞き慣れた女の声が耳に飛び込んできた。



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