恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

あのとき、あたしが助けたねこたんが昔話の『鶴の恩返し』みたいに、お礼にニンゲンの姿になって、あたしを助けにきてくれた、ってコト!?


まさか、そんな、そんなことっ……。


でも……、


このヒト、あのときのねこたんと同じ左目を悪くしてんじゃん!

それにニンゲンのクセにねこたんのドライフードを食べるっていうし!

足音も立てずにやってくるところだって、ねこっぽい!

おまけになにより、さっき冷たい態度をとったかと思ったら、次の瞬間にはやさしくて……気まぐれに、ちょうど、ねこの目みたくコロコロと変わるソノ性格は、まさしくねこそのものじゃん!!


このヒト、本当にあのとき助けたねこたんじゃないの!?

自分がねこだから、ほかのねこたんが捨てられてると、ほっとけないんじゃないの!?


こんなこと、フツーじゃ考えられないけど、ここまで“状況証拠”がそろってると、彼が犯人……じゃなくて、彼がねこだと考えたほうがむしろ話の筋道が通るのかも――――
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