恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
第7章「ねこの目のようなヒト」
濡れた服が乾かせて、ヘアーメイクもできる場所を提供してほしいと頼んだあたしを連れて、ねこ好きの謎のイケメンがやってきたのは、新宿・歌舞伎町の『禁断ノ果実』という名前のオカマバーだった。

そのお店のママ、マンゴーというM県のH知事ソックリのおじさんの強烈すぎるキャラにモロ抵抗感があったんだけど、彼があたしに危害を加えないことが分かって、お店の奥の部屋に上がることにしたあたし。


部屋に入って、マンゴーママに男モノのダボダボのワイシャツを借りると、一度ママには部屋から出てもらってからソレに着替えて、濡れた服をママに渡した。

そしてママが服を乾かしてくれているあいだに、バスルーム前の意外と立派なシャンプードレッサーの鏡を見ながら、ヘアーメイクをやりなおした。


カンペキなセットに満足して、さっき着替えた奥の部屋へと戻ってみると、濡れてシワくちゃだった花柄ワンピが、買ったときのまんまの状態みたいに綺麗になって、キチンとたたんで置かれてあった。

“マンゴーママって見かけによらず、思った以上にちゃんと主婦業やれんじゃん♪”って、あたしは思った。……ってか、ちょっと感動さえしていた。



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