不良姫×不良王子
◎陽さいど
あーあ…
あの龍が!
一夜を共にした女の顔さえ
忘れてしまう龍が!
彼女を作って、
しかもお姫様抱っこだと?
…あれは幻か?
…いや、ちがう、本物だ…
龍に殴られた痛みを思い出し首を振った
あんな優しそうな表情、初めて見たな。
前は冷たくて俺らにもたまに
一線引いてるようなとこあったのに
いつの間にか笑ったり怒ったりするし
いつから血の通った人間になったんだ?
ふっ…と
俺は短く息を吐いた
あの女に惚れてからか…
長年一緒にいた俺らにも
見せることはないあの表情…
もう認めるしかねぇか…
「…さてっ!銀龍の緊急集会だあ!!」
「おっけ。」
祐が隣で叫んだのを聞いて
俺はこいつも認めたんだなって思った
あいつらなら大丈夫だろうけど、
俺らが認めたんだから
とことん幸せになってもらいましょうかね?
陽さいど おわり