Heaven
母さんは俺らをあまり責めたりはしない。
信じてくれているようだ。
俺と美月を。
いつまでも俺と美月の味方をしてくれる。
だから嫌いになんかなれないんだ。
『な、雅、美月?運命は必ずある。だから安心しなさい。いつか絶対運命の人が現れるから』
コーヒーを一口飲んだあと、父さんは『熱い』と言って、コップを口から離していた。
《運命の人》
やっぱりいるのかな?
俺は半信半疑のまま生活してきた。
だけど父さんが言うのだから間違いはないだろう。
そしてあの人も言っていた。
俺の尊敬する人。
それは…俺の爺ちゃん。
爺ちゃんも昔からそう言っていた。
『運命の人は必ずいる』って。
小さい頃は信じていたが、身も心も大きくなるにつれて、疑いをもつようになっていた。
だって、一度将来を誓い合っても、離れてしまうだろ?