Heaven


『京子と幸せになってね!相談なら聞くから!あたしも早く好きな人見つけて自慢するんだから!』


まさか、こんなことを自分が言うなんて思ってもいなかった。
いつもなら、悲しくなって泣きそうになるあたしはどこにいってしまったのかな?

きっと自分で鍵をかけてどこかにしまったのだろう。

陸の前では見せることなんて出来ない。


こんな弱いあたし。
すぐ泣くあたし。

サヨナラを言わなきゃね。


『美羽…』


『陸なら京子を幸せに出来るから頑張ってね…』

次第に涙が込み上げてくる。
あたしはこう言って、走り出す。

離れていく陸との距離。ついに距離も遠くなってしまった…。


『よく頑張った』と誰かに言ってもらいたいよ…


幸せにするのは京子じゃなくて…あたしを幸せにして…。


あなたが遠い。
あなたが見えなくなる。

あたしの恋は叶うことはないのかな─…


誰か、誰か…
あたしに光をください。


違う…。

誰か、誰か…
あたしに…


陸の心をください─…


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