Heaven


時計の針が刻々と時を刻む。
隣の席の住人はまだ帰ってこない─…


『雅?どうかした?』


空白の席を見つめていると、視界にさくらが映った。
俺はさくらに視線を向けて首を横に振る。

気にしない方がいいのかもしれない…な。


するといきなり教室のドアが開き、一人の男の人が入ってきた。
一見ホストのような人だ。
緩めのネクタイ、細身の背広。
そして茶色い髪の毛。
後ろは少しウェーブがかかっているようだ。
黒い縁のメガネがとてもオシャレで、外見から見ると『若い』『かっこいい』この二つの印象だ。

騒がしかった教室がその人が入ってきた瞬間、静かになる。


『えっと、今日からこのクラスの担任の沢村響です!よろしくな!!』



その人から飛び出した言葉を聞いた俺達は、驚きを隠せなかったに違いない。
一見先生には見えないのだが、先生と言い張るのだから先生なのだろう…

俺達の担任、沢村響先生。


先生は揃った。
あとは空白の住人が揃うだけ─…



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