自閉症児の育児日誌
保育に入ってからの四年間で本当に出来る事が増えて言葉も増えて随分子供らしくなった。卒園式にはきっと私も先生も大泣きするんだろうなぁ…と思っていた。そして迎えた卒園式。彼女が先生と手を繋いでホールに入ってきた。卒園証書も貰い長く続くお祝いの言葉。彼女は時折先生に話しかけたり、周りを見たりしながらどうにか、フィナーレ間近の歌。体もそうだが心も本当に大きくなった彼女。言葉を持たず、多動に苦しみ、初めて療育センターの門を潜った日、色んな先生との出会い。人の心の温かさを知ったし、ひらがなを覚えてくれて感動した事、胸張って堂々と叩いた太鼓。僅かな時間だが頭の中を過ぎった時、堪えていた涙が溢れて止まらなくなった。ふと前を見ると、ニコニコしながら元気に唄う彼女の横で、大泣きしている担当の先生…。歌も終わり、式も終了。学校の校長先生が挨拶に来て下さったが、何故か校長先生もボロボロに泣いていた。とにもかくにも、無事に式が終わった。その日の夜に有った、謝恩会でお世話になった先生方と飲んだお酒が美味しかった。
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