新しい光



一緒に来てくれた
ゆかりが先生に言う。


「先生見送りに来たよ~」


「おぉサンキュー
じゃあそこの荷物
持ってくんない?」


そして階段を降りる。


あたしは寂しくて
何も話せない。


車に着くと先生は
荷物を積んで
車に乗り込む。


「ありがとな、
ゆかり、柚依!」


「いいよ~じゃあね」

ゆかりが元気に言う。


あたしはただ先生を
見ることしかできない。



先生がエンジンを
かけて車を動かす。



「先生バイバイ!」


最後の最後に言えた。


すると先生は窓から
手を出してかっこよく


「じゃあな」


と言って去っていった。




先生がいなくなり
あたしはゆかりと
旅館の中へ戻った。



そして、ゆかりは先に
ご飯を食べに行った。





一人になったあたしは
先生がいた部屋へ行く。





開け放された部屋は
先生が吸っていた
タバコのにおいと
先生がつけていた
香水のにおいがした。







「先生…」




そう呟くと
とても寂しかった。








残りの合宿はちっとも
楽しくなかったけど
なんとか頑張った。





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