例えば、それが奇跡なら…
病室では柚葉が一人で考えていた。

「お母さん、無理しなくていいのに‥。」

柚葉はうすうす気付いていた。

すでに年齢は立派な大人だったから。

柚葉は気付いてはいたが、まさか二ヶ月の命だとは思わなかった。

どこかで覚悟はしていたけども、死ぬなんて考えた事もなかった。

「あ!そろそろ来るかな‥」

柚葉は気を取り直して窓から中庭を見た。

すでに白い軽四はとまっていた。

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