蜜愛

野菜や

包丁や

冷蔵庫のノブを握る私の右手を、

そのまま夜は彼のためだけに使った。


彼は私を気遣い、ベッドのへりに腰掛けて、

私がかがんだりうつ伏せになる姿勢をとらなくていいように

彼の腰を
私の頭の高さに
極力合わせてくれた。


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