蜜愛

ああ、なんでこんなコトまでハッキリ思い出してしまったんだろう。


……そうだ。


あの時彼女が間違えた名前も。


――『セイタ』だった。



いつものクセでつい旦那の名前、呼んじゃった。


そう言って舌を出した彼女。

悔しいけどかわいくて、間違ったことすらただ、旦那さんを羨ましくさせられただけだった。


どうでもいい昔のことを思い出して、

つい感傷的になっているうち。


……僕もいってしまった。


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