蜜愛
僕の思考回路が完全に、父さんの話を受け入れる方向ではなく

拒絶する耳がかろうじて拾い上げた言葉の断片をつなげて、僕の勝手な思い込みで物語が完結した。

どのように話を思い返しても、


父さんは一度母さんを捨てている。

そして、母さんは好きでもない奴と僕のために結婚した。

再び父さんと母さんが出会い、そのせいで母さんがあのおじさんに殺された。



一体誰が一番悪いんだ。なんで母さんがあんなことに。

そうか、父さんだったんだ。

父さんのせいだったんだと、思えば思うほど今自分がこうしてこの親に引き取られ生活をしてこれたことに違和感があった。

……恨むことはできなかった。

それでもやはり僕の父、だから。


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