蜜愛
失明



ーーそれから私は。

もう幾度となく兄のいいなりになった。

学校だろうと友達と遊んでいようと

ケータイに連絡が入れば構わず呼び出された。

『おまえの母さんのこと。父さんに言ってやったっていいんだぜ』

この言葉にどうしてこれほど、拘束力があるのだろう。

もう、よくわからなかった。

ただなんとなく、いいなりになりたい自分がいたのかも。

私も悪いんだ。
私も悪魔の子なんだ。

そう思ったほうが……

血の繋がりがないとはいえ、この背徳的な関係を受け入れるための苦が軽減された。
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