蜜愛
『嫌……母さん認めないで』

私は首をぶんぶん振って、子供のように続けた。


『それ、あたしずっと兄さん…父さんにバラすって言われて……何度も、ここに呼ばれて…』


心のどこかで、嘘だと信じていた。

兄さんのかわいい嘘。

私とヤリたいだけで、その為についた嘘なんだって。

父さんにバラしたってどうせ何も起こらないに決まってる。

だけど、私が母さんの代わりにこの寂しがりなお兄ちゃんを慰めているの


そう、思っていたかった。

なのに……


母さんは、私の衝撃よりも。

もっと強い衝撃を受けたような真っ青な顔して、こう叫んだの。


『あなた達……あなた達は兄弟なのになんてことを!!』

って。


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