蜜愛


かれは一度指を止めて、私がつくった水溜まりをマジマジと見る。

『見たら、や……』


その声が、
やっと私の発する事ができた、マトモな
『人間の言葉』で。

それ以外はずっと。
動物園のどんな生き物よりずっと。

私は野性を思い出していた。

彼のなめらかに盛り上がる肩から腕にかけての筋肉を見て、
沈まない夕日に雄叫びをあげていたのだ。

『誰のこと、考えてた?』

誰って、他にいる?
私はうっかりそう口走りそうになった。


ーー私には、主人がいた。


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