ケータイ


「その子と一緒にホテル入るのを撮る」

「それだけかよ?」

「…レイジ。その子の彼氏になって」


「…彼氏?俺が」


レナは一息に話す。


「そう。その子を落として。そしてもし私と同じ境遇なら、私の話をして一緒に小柳をやっつけると言って」

「小柳のただの愛人ならば?」


「レイジ…その子を騙して証拠を撮らせて」

無言のレイジ。
重い空気が二人を包む。

「それで?小柳はやめるのか?意味があるのか!」

レイジが大きい声をだす。店内の人々がちらっとこちらへ視線をなげる。

「きっと。きっと、その子は待ってる。助けてくれるのを。私と同じ境遇なのが、わかる」
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