わたしの飼いもの

<募集>

「大東係長。ちょっと来てくれる」

書類を作っていた手を止める。

絵梨は課長の机へ急いだ。




課長には癖がある。

くだらない話とか、面倒な仕事を絵梨に押し付ける時は、

「絵梨ちゃ~ん」と気持ち悪い呼び方をする。




「大東係長」と呼ぶ時はまじめな仕事の話だ。




(何だろう・・・)

そう思いながらも、「大東係長」呼ばれた事には安心した。




「例の人員補充なんだけど、高校生のアルバイトを採用する事になったから」

「えっ、高校生ですか?」

確かに高校生でも無理な仕事ではない。




(めんどくさそう・・・)

絵梨は32歳。

若い高校生と仕事するのは気が重い。




「学校の夏休みに合わせてもう人事部が募集をかけてるから」

「わかりました」

NOという程の理由もなかったので絵梨は承諾した。




「時給も安くすむなぁ」

課長はボソッと独り言のように言ったが、絵梨は聞こえないふりをして、自分の席に戻った。





< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop