√番外編作品集
「フルートかぁ、いいな。私は見てのとおり体育系だからそういうお嬢様なものは無理」

「中学の頃から?」

「中学の頃はテニス部だったよ!」

「俺も中学時代はテニスやってたよ」

わー、意外な接点だ。

敦子が無邪気に笑いながらサーブの話をはじめる。

俊彦は黙って相槌を打ちながら話を聞いた。

「その、飯島……"ほりぐっち"っていうのどうにかならないか」

「え、可愛いじゃないですか。ほりぐっちー。ぐっちぐっち! 千恵にも潤にも通じるよ!」

通じるということは定着してしまったということだ。

「そ、その……やっぱりそれは恥ずかしい」

「そうかなーでも、堀口さんってなんか他人行儀だし、いまさら堀口先輩って言うのもなんかなぁ……下の名前は何ていうんですっけ?」

「俊彦 (としひこ)──だよ」

その言葉を受けて、敦子はポニーテールを再度揺らして眉を跳ね上げた。

しばし考える仕草の後に

「じゃあ、とっつあん」

「それで呼んだ日には、飯島のことをフジコって呼ぶぞ」

「やだよーあははは」


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