狂者の正しい愛し方


あっさり体を離すと、制服姿の私は、鞄も財布も、ケータイすら持たず玄関へ急いだ。

靴を履き、クリーム色の扉を押し開ける。


途端に、昼下がりの暖かな日差しが部屋の中に降り注いだ。


ああ、綺麗だな。


頭の中でそう呟いてから、心の奥深くで私は思った。



ああ、解放されるな。




佐薙さんが私の背中を見つめているのはなんとなく分かる。

でも私は振り返ることはしないで、前を見たままたった一言。



「いってきますね。」



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