狂者の正しい愛し方



二人きりでいるときは、少しも考えられないこと。

だから一人きりの時間が必要。


引くタイミングで、引き込まれるのは佐薙さんだけじゃなく、

私も同じことなんだ。



「………佐薙さん…。」


無意識に名前を呼んでしまうあたり、

依存してるんだな、と思い知らされる。



「でも盗聴機はいただけないよねっ。」


くす、と可笑しそうに笑って、今度は大きくブランコをこいだ。



流れる雲を見上げて、大きく息を吸う。


肺に入ってくる空気は、佐薙さんの部屋にいるときより冷たい。

それが体には心地よいけれど、


心にはストレートに、冷たく刺さる。


こう感じたら私の場合、

もう“ダメ”なんだ。


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