狂者の正しい愛し方


佐薙さんは無表情だ。



「いいんです。慣れてるから。
勉強できないとこ、親に見られたら恥ずかしいでしょ?」


ふざけたように笑うと、佐薙さんは暫し私を見つめたあと、授業参観の紙を見て、

そして自分の手帳を取り出した。


「?」

「よし、土曜日は何も用事が入ってない。」

「は、はい!?」



「土曜日は、ご両親の代わりに俺が父兄参観に行く。」



予想はしてた。

でも予想してなかった。


二つの言葉は矛盾しているけど今の私の頭の中を言い表すなら、それしかない。


「い、いいですよ佐薙さん!!無理しなくて!!
これ、学校のことだし…!」

バタバタ手を振って止めさせようとしたら、佐薙さんが私の両手を優しく掴んだ。


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