狂者の正しい愛し方


少し心配になったからそう訊ねれば、佐薙さんは柔らかく笑う。


「少し逆光になるだろうが、晴姫の姿はハッキリ見える。」

「し、心配する必要なかったですね……。」


安心して、私は佐薙さんに深く腰掛けた。

座りやすい位置を見つけた途端、後ろからお腹を緩く抱えられる。
恥ずかしいなぁと思いながらも、嫌なわけじゃないので文句は言わない。


上映前のコマーシャルが始まると同時に、後ろから耳元に囁かれた。



「私服、可愛いよ。
髪も少し乱れてて、晴姫らしい。」


そ れ を 今 言 う か !!!


「スカートも可愛い。
特に素足なのが良い。」

「ち、ちょ、佐薙さん、止めてクダサイ触らないでクダサイ、ちょっとー!?」


注、全部小声だ。


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