アルタイル*キミと見上げた空【完】
「さ、行こう?」
タイチさんが、私の肩を軽くぽんと叩いてくれた。
いつもはもっと軽くなんでも冗談にして話してるのに・・・
やっぱり優しい人なんだな、って思った。
「・・・汐!?」
ふいに前に現れた声の主は・・・
「修ちゃん・・・」
「大丈夫か?」
すぐに気遣ってくれる修ちゃんに、なんですぐにわかるの?って思ったけど、
もうその時は何もいう気にはなれなくて。
そんな私の手を引っ張るように、修ちゃんは歩いていく。
今度は今朝とは違って、とても優しく。
「今日・・・送ってくよ」
「・・・・でも監督さんに・・・。きっと大切な話なんだよ」
「汐」
「だから、私・・・行く!」
「汐?」
もうコドモのままでいたくないから。
と言うのは、建前。
本当は、悲しくて、信じられなくて、すぐに一人にはなりたくなかっただけ・・・。
私は・・・やっぱり、オトナになりきれないコドモだったんだ。