ラストライブ
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浅美(あさみ)は、中学二年生で十四歳。

初めてこの場所に足を踏み入れたのは、小学六年生の十二歳の頃だった。

父親はなく、母親が夜の仕事をして生計を立てている。

家にいても落ち着かないし、学校の友達とも家庭環境の違いからかさっぱり話が合わなかった。

浅美は、晩ごはん用にと母親が置いていったお金をこつこつと貯めては、近所にあるこのライブハウスに行くようになっていた。

年をごまかしてライブハウスへ出入りしていたことを知っているのは、絵梨と彼女を含めた数名だけである。

いわば、２人は秘密を共有しているのである。

絵梨は、浅美の親友である。

絵梨(えり)は、高校一年生で十六歳。

都立の高校に行きながら、夕方からはパン屋のバイトをしている。

今日は、彼女たちが見たいバンドのライブがあるためバイトを早退してきたという訳だ。
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表紙・目次

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