今日も、恋する電車。
早朝とは異なり、車内は人と人との隙間が少なく、ぎゅうぎゅう詰めであった。茜は人とぶつからないよう身をすくませる。

わずかな端の壁に自分の居場所をみつけると、茜はそこに身を寄せ、朝と同じようにゆっくりと茜は車内を見渡した。

いつも保を探すせいか、電車に乗ると周囲をじっくりと観察する習慣がついてしまった。

夏前で、暖かくなってきた気候のせいか、長袖の中にまばらに半袖の人が混じっていた。

スーツ姿の男性は、落ち着きなく時計を覗き込んでいる。

短いスカートで華やかな化粧姿の女性は、何度も何度も金に近い茶髪を整えて、鞄から鏡を取り出した。

ランドセルを背負った制服姿の小学生は、ブルーの表紙の教科書をじっとみている。

それぞれみな電車の中で過ごしているが、どこか顔に表情が欠落していた。
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